
2023年(令和5年)2月16日から3月15日の確定申告は令和4年1月1日から12月31日の収入が対象です。
個人事業の場合、収入というのは売上になりますが、認識のタイミングに注意が必要です。
というのは、税務会計上は売上は発生した時認識すべきで、売上を計上するのは入金されたときではなく、請求書を発行するタイミングになります。こういったものを売掛金といいますが、税務調査などでは必ず論点になります。
ポイント
売掛金は、飲食店などの店舗でも、クレジットカードやコード決済による売上があれば該当します。
とはいえ、売掛金がどうこう言われても、はじめての確定申告ではわかりづらいですよね。そこで、この記事では、個人事業での売上の計上のタイミングや実際、確定申告ではどう処理するかについて解説しました。
確定申告はいつからいつまでの収入か?

確定申告の収入は、1月から12月までの分を申告することになります。たとえば、令和5年(2023年)の2月‐3月の確定申告では、令和4年の1月から12月の収入を申告します。
個人事業の場合は、収入というより売上になります。もちろん経費も申告するので、令和4年1月から12月の売上、経費、利益を申告することになります。
個人事業での注意、売上の認識と売掛金

個人事業のはじめての確定申告では、売上を「入金のタイミングで計上する」という間違いがけっこう多いです。
税務会計では、売上は入金ではなく、発生のタイミングで認識します。
発生というのは、例えば、卸売業を営んでいて、得意先のA社に卸していれば、月に1回、当月分をまとめて請求します。この請求書の発行のタイミングで売上を計上することをいいます。
例えば12月分の請求は、1月に入金になるので、売上は計上しても現金化されていません。これを売掛金といいます。
売掛金は、飲食店などの小売りにもあって、クレジットカードやコード決済の売上が該当します。
具体的な売上の計上方法

簿記知識不要の売上の計上方法
売上を計上するといっても、はじめての確定申告だと何をどうするのかイメージつきづらいですよね。
具体的に個人事業の場合は、帳簿に記録していきます。帳簿というのは事業の家計簿のようなもので、会計上の取引を日々記録していくものです。
帳簿をつけるには、本来簿記の知識が必要です。売上を記録するには、以下のように仕訳という仕組みを使って記録していきます。
現在は会計ソフトがかなり進化しているので、簿記知識がなくても取引を簡単に記録できるように設計されています。
例えば、やよいの白色申告だと、以下のように、かんたん取引の画面から、

「取引日」、「科目」、「金額」、「摘要」を入力するだけです。
個人事業の場合、確定申告書に決算書を添付します。
会計ソフトを使うと、入力したものが、確定申告書や決算書に全て連動するので、帳簿、決算書、確定申告書と何度も同じ数字を入力する手間が省けます。
つぎに売上を実際に入力するもととなる数字はどうもってくるのか?
- 法人など事業者相手のビジネスの場合
- 飲食店など一般顧客相手の場合
でそれぞれ解説しました。
法人など事業者相手の場合
法人など事業者相手のビジネスであれば、月単位で締日を設けて請求書を発行します。売上の計上もこのタイミングで大丈夫です。
(本来は、物販などの場合、相手方に商品が到達したとき等認識の基準は細かくありますがここでは割愛します)
そのため、売上の記帳は月に1回で可能です。
飲食店など一般顧客相手の場合
飲食店など、店舗での事業の場合は日々の売上を計上します。といっても顧客ごとではなく1日の売上として日単位で計上します。一旦、日計表を作成して現金売上と、クレジットカードやコード決済などの掛売上を区別して行います。
会計ソフトの選び方

会計ソフトの便利さはわかったけど、どれを選ぶべきか悩むところですよね。選ぶ際に大事なのは、次の3つです。
- クラウド型であること
- 確定申告に対応していること
- お試し期間があること
クラウド型であること
クラウド型というのは、従来のPCにインストールするものと違って、インターネット上でログインして使うタイプのものです。
クラウド型にすると何がいいかというと、
クラウド型のメリット
- 法改正などがあっても自動でバージョンアップされる
- データのバックアップが不要
- 税理士に依頼するときのデータのやり取りが楽
というメリットがあります。
一方デメリットは、
クラウド型のデメリット
- 仕訳入力時にインストール型より動きが遅い
- 部門管理などの多種多様な機能はない
- ID・パスワードが漏洩すれば容易にアクセスが可能
デメリットを見るとわかるとおり、大きな企業でなければ、デメリットとは感じない内容となっています。
確定申告に対応していること
会計ソフトはもともと、帳簿から決算書まで作成できる企業会計を対象に作られたものなので、企業向けが圧倒的に多いです。個人事業で確定申告をメインに使うのであれば、個人事業向けを選ぶ必要があります。
お試し期間があること
会計ソフトは、けっきょく使ってみないと使い勝手がわからないこともあります。
- 使ってみたらイメージと違う
- 機能があまりに多くて使いこなせない
といったことも想定されるので、無料期間やお試し期間があるものがベストです。
個人事業向けの会計ソフトはこちらの記事でくわしく解説しています。
個人事業主の会計ソフトの選び方、失敗しない3つのポイント
まとめ
確定申告での売上の集計期間は1月から12月までになります。売上は発生ベースで計上する点に注意しましょう。
個人事業では帳簿への記帳を行う必要があるので、会計ソフトを導入することをおすすめします。
会計ソフト選びのポイントは以下の3点です。
- クラウド型であること
- 確定申告に対応していること
- お試し期間があること
その他の確定申告の注意点としてこちらの記事も合わせてどうぞ。