
確定申告が遅れたのでどうしよう?もう出さなくてもいいか?
もし、そう思っていたら、確定申告は、提出が遅れても期限後申告として受け付けてくれるので必ず提出は済ませましょう。
私の税理士事務所勤務時代の経験ですが、
過去に確定申告をせずに放置していたところ、税務署が税務調査に来たという事例もあります。
とはいえ、
- 期限を過ぎての確定申告はいつまで受け付けてくれるのか?
- どうやって申告するのか?
など知らないことばかりだと不安ですよね。
そこで、この記事では、
この記事の内容
- 提出期限を過ぎてもできる期限後申告の内容
- 期限後申告のやり方
- 自分で期限後申告をやるリスクと税理士へ依頼するメリット
といった内容について、税務の実務に通算18年従事した私が経験にもとづいてわかりやすく解説しました。
この記事の執筆者

しょうじ
会計事務所に通算18年勤務。法人税・所得税で累計1,000件以上の確定申告業務、100件以上の税務調査の立ち会いに従事。起業や法人成りのスタートアップ時のサポートや融資・資金繰り相談などにも幅広く対応していました。
確定申告が遅れてどうしようか迷っているという人には必見の内容です。ぜひ最後までご一読ください。
期限後申告とは?

期限後申告というのは、特別な手続きを指すわけではなく、確定申告書を提出期限に間に合わず、期限後に提出される申告書のことを「期限後申告」といっています。
混同されるのが、修正申告ですが、修正申告は一旦提出した申告書に誤りがあった場合に、その誤りを正す目的で提出されるものです。
期限後申告の受付期間は5年
税務署長には賦課権(申告書の誤りを正す更正、申告がなかった場合に行う決定を行う権利)というのがあって、この賦課権の除斥期間(定められた年数が経過すれば
権利が消滅する期間のことで時効とほぼ同義)が脱税などではない場合は5年です。
そのため、期限後申告も5年前のものまで受け付けてくれます。
期限後申告の加算税
期限後申告の場合、提出期限は過ぎているので無申告加算税と延滞税が課されます。
無申告加算税
無申告加算税は、申告をしなかったことに対してかかる税金です。
本来納めるべき税金(本税)に率を乗じて計算します。
税務調査で指摘された場合、
本税に対して50万円までの部分に15%、50万円を超える部分に対して20%かかります。
税務調査の事前通知後であれば、
本税に対して50万円までの部分に10%、50万円を超える部分に対して15%かかります。
税務調査の事前通知税務調査の事前通知というのは、調査官が税務調査に行く場合、法律上、「税務調査に行きますよ」ということを通知しなければいけません。この通知のことをいいます。
自主申告であれば、無申告加算税は、かなり軽減されます。
延滞税
延滞税は税金の未払いに対する利息のようなものです。
その利率は、期間を二つに分けて考えます。
法定納期限の翌日から
①「完納の日または2月を経過する日」‥年7.3%か延滞税特例基準割合+1%のいずれか低い方
②「2月を経過する日の翌日から完納の日」‥年14.6%か延滞税特例基準割合+7.3%のいずれか低い方
期限後申告のやり方

期限後申告といっても確定申告書を提出期限後に出すだけで、通常の確定申告と何も変わりません。
ただし、長期間無申告だった場合は、期限後申告として提出できる期間である5年分全て提出した方がよいです。
さかのぼって確定申告する場合のやり方はこちらの記事でくわしく解説しています。
提出は所轄の税務署
確定申告書を遅れて提出する場合も、書面で郵送するのも、インターネットで電子申告するのも提出先は所轄の税務署です。
税金の納付方法
税金を納付する場合も期限に遅れていても、税務署や金融機関の窓口、電子納付は可能です。ただ振替納税をしている場合は、期日に引き落としにはならないので、別の方法で納付する必要があります。
いずれの方法でも、期限は過ぎているので延滞税が発生する可能性があります。
青色申告の注意点
青色申告が適用となっている人の場合、期限後申告になると青色申告の特典のうち青色申告特別控除が受けられなくなります。
青色申告特別控除は提出期限内に確定申告書を提出することを要件に受けられる制度なので、期限後申告の場合、控除はできなくなります
多額の税額なら税理士に依頼する

期限後申告する場合にも注意点があります。
それは、多額の税額が発生している場合は、税務調査が想定されるということです。
期限後申告で多額の税額が発生している場合、
税務署は期限後申告で遅れながらも正直にきちんと申告した、とは見ていません。
- 何かしら隠すことがあって申告が遅れたのでは?
- じつはもっと所得があるのでは?
というふうに見ています。
そのため、税務調査になる可能性は否めません。
その対策として、税理士に依頼するのが得策です。
税理士に依頼するメリット
税理士に期限後申告を依頼する主なメリットは、
- 税務調査を想定して作ってくれる
- 税務調査の立ち会いに有効
- 税務署への抑止力がある
という点が挙げられます。
税務調査を想定して作ってくれる
税理士が確定申告書を作るときは税務調査を想定して作ります。税務調査で見られることを前提にするので、不備は少なくなるし、ツッコミどころがあれば先回りして対策を練っておくことが可能になります。
税務調査の立ち会い時に有効
税理士の立場からすれば、人がつくった申告書のことを税務調査で聞かれても対応のしようがないし、責任もありません。でも、自分の作った申告書のことはよくわかるし責任があります。そのため税務調査を考えると、申告書の作成時から頼んでおく方がスムーズです。
税務署への抑止力がある
これはある税務調査で調査官から聞いた話ですが、「私見ですが、税理士の署名がない確定申告書は、初歩的ミスが多くある認識で見ている」と言っていました。
また、資格の剥奪の観点からも「税理士が作る申告書は仮装隠蔽がないということが一定程度担保されていると考えている」とも言っていました。
税理士の探し方
ただし、やみくもにインターネットで検索してもなかなか見つけるのは難しいです。
そこで税理士を探す場合、税理士紹介サイトを使うのが効率よく見つけるコツです。税理士紹介サイトは、一言で言うと、納税者と税理士をマッチングさせるサービスです。
利用の流れとしては、
税理士紹介サイト利用の流れ
- WEB上で登録
- 担当者による希望の税理士像のヒアリング
- 担当者が登録税理士の中から選定
- 税理士を紹介
となります。
税理士と面談の上、相性が合えば契約。相性が合わなければ、担当者にその旨伝えれば、担当者が代わりに断ってくれるのでストレスがありません。
なお、ここまですべて無料です。
ちなみに、税理士紹介サイトは大小さまざまで十数社ありますが、おすすめは登録税理士数も実績も業界ナンバーワンの税理士ドットコムです。

まとめ
提出期限を過ぎても、期限後申告として確定申告の提出は可能です。
ただし、遅れることにより無申告加算税や延滞税などのペナルティがあります。また、青色申告の場合、青色申告の特典である青色申告特別控除が使えないデメリットもあります。
所得や税額が多額になる場合など、税務調査のリスクが懸念される場合、税理士へ依頼することも検討しましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。