
- これから確定申告を自分でしようと思うけど間違いだらけだったらどうなるの?
- もう、確定申告を自分でやったけど、間違いだらけかも?マズい?
初めての確定申告だと間違いはつきものですが、あまり多すぎるのも問題です。
じつは、データで照合できる間違いは国税庁ではすぐにわかります。
というのは、国税庁では確定申告などのデータを国税総合管理システムで一元管理しているからです。
多少の間違いであれば、税務署から連絡がきて、修正申告などで対応すればよいですが、あまりに間違いだらけだと、連絡がくるのではなく税務調査の対象になることもあります。
所得を隠ぺいしたりしたわけでもないのに税務調査というのは避けたいですよね。
そこでこの記事では、
この記事の内容
- 間違いがバレる理由
- 間違いだらけの時のリスク
- 確定申告でよくある間違い
- 間違いだらけの対処法
について、税務の実務に通算18年従事した私がわかりやすく解説します。
この記事の執筆者

しょうじ
会計事務所に通算18年勤務。法人税・所得税で累計1,000件以上の確定申告業務、100件以上の税務調査の立ち会いに従事。起業や法人成りのスタートアップ時のサポートや融資・資金繰り相談などにも幅広く対応していました。
これから確定申告しようとする方、すでに申告したけど間違いだらけで心配という方には必見の内容です。ぜひ最後までご一読ください。
間違いがバレる理由
国税庁では国税総合管理システム(通称KSK)で確定申告などのデータを一元管理しています。申告した個人・法人のデータベースが出来上がっているので、業種ごとの粗利率や利益率なども把握しています。
そのため、データ照合で判明するような間違い、
例えば、
- 白色申告の人が青色申告で提出
- 添付すべき付表などを添付していない
- 予定納税の欄が未記入
といったことはすぐにわかります。
間違いだらけのリスク
初めての確定申告などは間違いがつきものですが。「間違いだらけ」になってしまうと、ちょっと問題です。
税務調査の対象に選定される
確定申告書が間違いだらけや複数年にわたって間違いが頻発していると税務調査の対象に選定されることもあります。
というのは、間違いが多いということは、売上の計上漏れなど、所得や税額への影響も大きいと考えられるからです。
まじめにやっているのに調査?と思うかもしれませんが、他の納税者が間違いなく申告しているには、それなりの労力も割いているわけで、間違いがあってもおとがめなしであれば公平性が保たれません。
税務調査時にさかのぼって調査
通常の税務調査では、直近から3年間の申告状況として、帳簿や請求書・領収書を確認します。ところが、間違いが多くなれば、「さかのぼって5年前まで」といった長い期間が対象になります。その分追徴税額のリスクも高くなります。
確定申告でよくある間違い
初めての確定申告では、どのような間違いがあるのか?気になりますよね。私が実務でよく見た初心者によくありがちな間違いは次の5つです。
- 現金残がマイナス
- 売掛金の計上がない
- 白色申告なのに青色で申告
- 棚卸しをしていない
- 減価償却資産を費用計上
現金残がマイナス
青色申告にすると、青色申告決算書には現預金残高を記載する箇所があります。青色申告は帳簿の作成が必須なので会計ソフトを使うことになりますが、簿記がわかってなくて会計ソフトを使うと現金残高がマイナスということが起こりがちです。
売掛金の計上がない
初心者は入金があった時に売上を計上といったように、売上の計上を入金ベースでやりがちです。
税務や会計では発生ベースで計上します。発生ベースというのは、簡単に言うと請求書を発行するタイミングです。例えば、末締め翌月末払いの契約の取引先があったとします。12月1か月間の売上10万円の請求書を12月31日で締めて、1月初旬に発送、入金になるのは1月31日であれば、この10万円の売上は12月分の売上になります。
ただ、入金は12月時点ではまだないので、この10万円を売掛金として決算書上、記録することになります。
青色申告決算書には、貸借対照表という表に入力が必要で、ここに売掛金の欄があります。この売掛金欄の金額が未入力であれば、売上の漏れが想定されます。
白色申告なのに青色で申告
青色申告を適用するためには、青色申告承認申請書を提出して、税務署長に承認してもらうことが必要です。
この青色申告の承認を受けずに、いきなり確定申告で青色申告として提出し、青色申告特別控除などを受けているという間違いは結構多いです。
棚卸しをしていない
物販など商品を販売する場合、会計期間の終了時(個人事業は12月31日)に棚卸しが必要です。棚卸しは、正確な期間損益計算をするための会計上の取り決めです。
棚卸とは、費用はその会計期間の収益に対応するものを計上するという考え方に則り、売れた商品分だけがその会計期間の仕入れにすべきという考え方です。会計期間終了時に手元に残っている商品は、売れていないので、この商品の仕入れは、来年以降売れた時に仕入れに計上します。そのため、今期では資産として棚卸商品に一旦計上して仕入れから除外します。
減価償却資産を費用計上
車やパソコンなどは、購入した年限りではなく、数年使うのが一般的です。そのため会計上は購入した時に経費にするのではなく、耐用年数にわたって少しずつ経費に計上するという考え方が採用されています。これを減価償却といいます。
そのため、10万円以上の車やパソコンは一旦資産に計上し、耐用年数で割って決算処理で減価償却費として経費に計上します。
間違いだらけの対処法
間違いだらけの申告書のリスクを被ることがないように、申告書作成前とすでに自分で作成して間違いだらけが心配な場合の対処法をお教えします。
申告書作成前
確定申告書作成前で、間違いだらけの申告書を回避したければ税理士に依頼するのがおすすめです。
税理士に依頼すると、税理士費用がかかると懸念される人もいますが、間違いだらけでの追徴税額のことを考えると、最初から税理士費用を支払って間違いない申告書を提出するほうが金額的にも安く済みます。
確定申告を税理士に依頼するメリットや税理士費用についてはこちらの記事でくわしく解説しています。
申告書提出後
確定申告書提出後に間違いだらけで不安という場合は、修正申告の手続きを検討しましょう。
修正申告というのは、確定申告の提出期限後に、当初の申告による所得や税額が少なかった場合のやり直しの手続きのことを言います。
修正申告についてはこちらの記事でくわしく解説しています。
確定申告間違えたら?やり直しの3つの方法【訂正申告、修正申告、更正の請求】
まとめ
初めての確定申告であれば、間違いはつきものです。ただ、間違いだらけとなると、税務調査の対象になったり、その税務調査でも5年以上さかのぼって内容を調査されるなど不利益が生じます。
できるだけ、間違いは避けたいところですが、まずはありがちな間違いを知っておくことが大事です。
初心者によくありがちな間違いとしては次の5つがあります。
- 現金残がマイナス
- 売掛金の計上がない
- 白色申告なのに青色で申告
- 棚卸しをしていない
- 減価償却資産を費用計上
また、間違いだらけにならないような対処法の一つとして、税理士に依頼するのも検討しましょう。
なお、すでに確定申告書を提出してしまっていれば、修正申告の手続きで間違いを是正できるので、検討することをおすすめします。
最後までお読みいただきありがとうございました。