
青色申告の方がメリットあるけど、帳簿がどうも、、、税理士に頼むには税理士費用が高額だしなぁ。
とお悩みですか?
じつは、個人事業主が白色申告から青色申告に移行するなら、税理士費用が実質タダで税理士に依頼できます。
なぜなら、青色申告には白色申告にない青色申告特別控除という65万円の控除額があるからなんです。
なぜ、税理士費用が実質タダになるかというと、
ポイント
所得が減ることで、所得税・住民税・国民健康保険料の負担額が税理士費用分くらい減るからなんです。
ただし、青色申告特別控除の控除額は、
- 10万円
- 55万円
- 65万円
と段階的に分かれているので、青色申告さえ申請していれば無条件で65万円控除が受けられるわけではありません。
この記事では、
この記事の内容
✅青色申告特別控除での所得の減額のシミュレーションと図解
✅青色申告で65万円控除を受けるための要件
✅青色申告の税理士費用の相場
といったことを税務の実務に通算18年従事した私が解説しました。
この記事の執筆者

しょうじ
会計事務所に通算18年勤務。法人税・所得税で累計1,000件以上の確定申告業務、100件以上の税務調査の立ち会いに従事。起業や法人成りのスタートアップ時のサポートや融資・資金繰り相談などにも幅広く対応していました。
青色申告を検討しているなら、実質タダで税理士に依頼して、その空いた時間を本業に使い、さらなる収益アップを図りましょう。
青色申告で65万円控除を受けるには
青色申告を申請して承認するだけでは65万円の控除は受けられないんです。控除を受けるためには、複式簿記での帳簿と電子申告(帳簿の電子保存でも可)が条件になります。
複式簿記による記帳
複式簿記というのは、取引を借方、貸方にわけて一定の勘定科目を使って記録することです。たとえば、タクシー代780円を現金で支払ったという場合には以下のようになります。

複式簿記で記帳すると何ができるかというと、決算書がつくれるようになります。
所得税の確定申告の場合、個人事業用の決算書である「青色申告決算書」という下図のような4枚の書類を確定申告書に添付するのが「青色申告特別控除」を受ける要件の一つです。

電子申告
複式簿記による帳簿をつけていても、電子申告しない場合には、控除額は55万円になります。
自宅に居ながら申告書が作成できる電子申告ですが、便利ではありますがちょっとめんどくさいです。
電子申告をするには、
- 利用者識別番号
- 電子証明書
が必要になります。この二つを取得するために、マイナンバーカードが必要です。マイナンバーカードは住所地の市区町村に申請し、発効までに概ね1か月程度かかります。
マイナンバーカードを使わない方法として、ID・パスワード方式があります。ID・パスワード方式の場合は、事前に税務署にて本人確認の手続きが必要になります。
いずれにしても、初めての場合、税務署か市区町村で、前もって手続きが必要となります。
青色申告の税理士費用の相場
複式簿記での帳簿作成や電子申告は、正直言って面倒です。これを税理士に頼めば、楽ですが、気になるのは税理士費用ですよね。
青色申告で、帳簿の作成までを含めて税理士に依頼すると、どれくらいかかるのか、私の経験からいくと概ね相場は以下の通りです。
基準としては、帳簿を作成してもらっても15万円くらいが相場だとみて良いです。
年間売上 | 帳簿作成は自分で行う場合 | 帳簿作成も依頼する場合 |
500万円未満 | 5万円~ | 10万円~ |
500万円以上1,000万円未満 | 7万円~ | 12万円~ |
1,000万円以上3,000万円未満 | 10万円~ | 15万円~ |
3,000万円以上5,000万円未満 | 15万円~ | 20万円~ |
ちなみに税理士紹介サイトの大手、税理士ドットコムと税理士紹介センターがHPに公開している相場を見ても概ね同水準であるのがわかると思います。
税理士費用が実質タダになる仕組み
青色申告で65万円の特別控除を使うと、所得税だけでなく、所得をもとに課税される住民税や国民健康保険料にも影響します。
青色申告特別控除を適用すると、どれほど税金に違いが出てくるかというと、
個人事業で、売上が年間500万円で経費が年間250万円かかったとして、シミュレーションしてみます。
売上が500万円だとして、経費が250万円なら、儲けである所得は250万円になります。ここに「青色申告特別控除」を適用すると、所得は65万円控除されて、185万円になります。

所得税は、正確にはこのあと各種の所得控除を引きますが、便宜上ここでは、この段階で所得税をかけるとします。
【所得税の税率表】

所得税は所得が増えるごとに税率が大きくなります。一方住民税は、所得の多寡に関係なく、一律10%です。
また、国民健康保険料は、自治体によって計算が異なりますが、概ね所得の14%程度です。
上記の前提で計算してみると、、、
【所得 250万円の場合】
区分 | 率 | 負担額 |
所得税 | 10%-97,500円 | 152,500円 |
住民税 | 10% | 250,000円 |
国民健康保険 | 14% | 350,000円 |
合計 | 752,500円 |
【所得 185万円の場合】
区分 | 率 | 負担額 |
所得税 | 5% | 92,500円 |
住民税 | 10% | 185,000円 |
国民健康保険 | 14% | 259,000円 |
合計 | 536,500円 |
青色申告特別控除を使わずに申告した場合、所得が250万円の場合は、所得税、住民税、国民健康保険料の合計の負担額は、752,500円
青色申告特別控除を使うと、所得が65万円控除されて、185万円になるので、所得税、住民税、国民健康保険料の合計の負担額は、536,500円となります。
そしてその差額は、216,000円です。
仮に税理士費用が相場の15万円かかったとしても、税理士に依頼して、青色申告特別控除を使って申告するほうが得になります。
このように税理士費用以上の恩恵が受けられるので、これが税理士費用分は実質無料となるというカラクリです。
さらに、所得税は所得が多くなるにつれ税率が高くなるため、所得が大きいほど、青色申告特別控除を使った差額は大きくなります。

支払った税理士費用は、来年の経費になるので、実質の負担は、もう少し減ると考えられます。
税理士に確定申告を依頼する際は、知らずに失敗することが多々あります。
注意点を下記の記事で解説していますので、ぜひご参照ください。
まとめ
確定申告を税理士に依頼して、「青色申告特別控除(65万円の所得控除)」を受けると、
所得税、住民税、国民健康保険料を減額できます。
この減額分を税理士費用にあてれば、実質タダで税理士に依頼することができます。
さらに、税理士に依頼することで、
✅記帳する時間を事業に使える
✅税務署が不審に思わない決算書ができる
✅税務調査対策ができる
というメリットがあります。
最後までお読みいただきありがとうございました。